1万2000人超の卒業生が結集、米ハーバード大支持の意見書を提出
(CNN) 米連邦政府の助成金22億ドル(約3180億円)を凍結されたハーバード大学がトランプ政権を相手取って起こした裁判で、1万2000人あまりの卒業生が署名した同大支持の第三者意見書が9日、裁判所に提出された。
意見書には1950年から2025年までの卒業生が署名。ウィスコンシン州のビール醸造家やコメディアンのコナン・オブライエン氏、オハイオ州の戦闘機パイロット、作家のマーガレット・アトウッド氏、サウスダコタ州の部族指導者、マサチューセッツ州の民主党知事マウラ・ヒーリー氏など、さまざまな経歴や背景のOBが、母校の将来を憂慮する思いで結束した。
1校の卒業生の意見書としては史上最大規模になるとしている。
卒業生らは今回の裁判について、学問の自由や連邦政府の助成金、キャンパスの統率をめぐる衝突が続く中で、ハーバード大学が自らを守り、他大学の先例ともなり得る歴史的瞬間と位置付ける。
ハーバード大学はトランプ政権による助成金の凍結を不服として4月に提訴。7月21日に口頭弁論が予定されている。
意見書では「ハーバード大学と関連高等教育機関の中核機能を支配しようとする政府の無謀かつ不法な試みを深く憂慮する。適正手続きも法的に認められる根拠もなしに、憲法で保障された自由も憲法による制約も一切顧みることなく、政府はあらゆる権限を行使してハーバード大学に損害を与える行動に出た」と訴えている。
活動の中心となったドキュメンタリー映画監督で公民権弁護士のアヌリマ・バーガバ氏はCNNの取材に対し、「我々が教育を受けるのは自由と民主主義を守るためでもある。今この時こそ、そのために立ち上がることが重要だと誰もが感じている」と語り、「政府から干渉されず、自由に発言し、考え、学ぶことができるかどうかがかかっている」と強調した。
同氏によると、意見書に署名したくても、政権からの報復を恐れてできなかった卒業生も多かったという。
イスラエルとパレスチナ自治区ガザの武装組織ハマスの戦争が続く中、トランプ政権側は、反ユダヤ主義の取り締まりを口実としてハーバード大学を狙い撃ちにしている。ホワイトハウス内部には、トランプ大統領はこの政策によって政治的勝利をものにできるという確信がある。
これについて意見書はこう論じている。「反ユダヤ主義の罪状が、適正な手続きや根拠もなしに、政府が不法かつ憲法に違反して学術機関を乗っ取る口実として利用されることがあってはならない。実際のところ、政府のハーバード大学に対する要求の大部分は、キャンパスにおける反ユダヤ主義との闘い、あるいは差別や偏見との闘いとはほとんどまたは一切関係がない」